2011年7月アーカイブ

水平線を。

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太陽が西の水平線に沈むのをみる機会はなかなかなかったような気がします。


イスラエル滞在もあとすこし。


1日のおわりにぼーっと海辺にひとり座っていると、


ゆっくり物事を考えられるのですが、


いままでみたことのない景色をもっとみたいと思います。


音楽のおかげでいろんな場所に行けたし、いろんな人に知り合えた。


いろんな景色をみたし、いろんな思いを味わった。


たぶんそれは経験とも呼ぶのですが、


もっと見たい。


一度しかない自分の人生で、


日本にうまれ、幸せに育ち、好きなことを仕事にできて、


同時に勉強も続けていられることに感謝。


たとえば、イスラエルや中東の歴史を知り、


イスラエルのひとと友だちになって話してみると、


あまりに違う生い立ちや環境にびっくりする。


でもぼくはいま縁があってイスラエルにいて、


彼らと知り合い、新しいことを知ることができる。


音楽のおかげなんですね。


前回の記事にたくさんのメールやコンタクトをいただきました。


気にかけてくださっている方々にも本当に感謝しています。


ぼくは自分の意志で決めたことたちを、


最大限の努力で推し進めて、


また新しい景色がみられたらいいなと思っています。


シンプルなんです。


太陽が西に沈んでいる美しい海は地中海ですが、


ウィーンからテルアビブに来るフライトでまたいだ


はじめてみたエーゲ海も、


それはそれは美しかった。


また書きます。


ありがとうございます。


 
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ルネサンス。

高校1年の時に最初の声楽の先生の門下の扉を叩いて15年、


東京文化会館に「メサイア」でデビューして10年、


新国立劇場に「フィガロの結婚」でデビューして8年。


テノール歌手として修行し、お仕事をさせていただいてきました。


幸運や縁、すばらしい出会いに多く恵まれ、


望んでもなかなか得られないであろう音楽環境の中、


テノールとして音楽の仕事を続けてくることができましたが、


この度、テノール歌手としての活動を休止することにいたしました。


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昨年夏、いつものように自宅で練習をする中で、


私自身の持つファルセット(裏声)の可能性を発見しました。


判断が独りよがりになってはいけないと思い、


できるだけ多くのプロフェッショナル音楽家に


その声を聴いてもらって意見を集めようと思いました。


なにしろ音楽人生を左右する一大事なので、


在住しているウィーンで、


かつてテノールとして留学したイタリアで、


その分野の音楽の本場であるロンドンで、


一時帰国中の東京で、


8月ころから12月ころまで


多忙な旧知の音楽家や師匠をつかまえては声を聴いていただき、


その中には特にその分野に精通した


世界的なプロフェッショナルも何人もいらっしゃいますが、


時間を作っていただき、本音の意見を求めました。


10人中10人が、その声はいいのではないかと言ったら


思い切って前に進もうと思っていましたが、


それが20人になっても30人になっても、


全員からきわめてポジティブな意見をいただきました。


昨年末まではテノールとしての仕事が決まっていたので、


今年1月にウィーンに戻り、情報を集めて


ウィーンにひとりだけ見つけることができた


現役で歌うカウンターテノールの方のもとを突然訪問し、


声を聴いていただいたうえで


1週か2週に一度、個人レッスンをしていただくことが叶いました。


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新たな修行開始から5ヶ月経った先月、


第30回 
国際 ハンス・ガボア ベルヴェデーレ声楽コンクール


(http://www.wienerkammeroper.at/gesangswettbewerb.en.php)


に、カウンターテノールとして挑戦しました。


国際声楽コンクールとしては世界中で知られたコンクールで、


世界50都市で計3000人以上が参加する予選があり、


私はオーストリア予選を通過してオーストリア代表となりました。


世界各地での予選を通過した141人が


ウィーンでの世界大会第1ラウンドに参加しましたが、


その世界大会の第1ラウンドも通過することができ、


私は32名のセミファイナリストのうちの1人に選ばれました。


セミファイナルを歌った結果、


9人のファイナリスト(オペラ部門)に残ることはできませんでしたが、


私が慎重な決断をして今までと違う方向に進み始めた道を


国際的な場ではじめて認められた結果に、心から幸せでした。


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そして、この国際コンクールでセミファイナリストとなった結果をもって、


今後はカウンターテノール歌手として音楽活動を続けていくことを


公式にご報告させていただくことにしました。


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テノールからカウンターテノールへの転向は、


野球でいえばピッチャーからキャッチャー、


サッカーでいえばフォワードからキーパー、


オーケストラでいえばヴァイオリンからチェロ


のような感じで、


仕事の内容(レパートリー)も


使う筋肉(声帯の場所)も違うのですが、


テノールとしてのこれまでの経験は全く無駄になることなく、


ほぼすべての歌唱テクニック、


舞台テクニックに応用することができています。


まったく新しいのは、


この15年で蓄積したテノールのレパートリーは


今後もう歌わないであろうことくらいです。


テノールと両立できないの?と訊かれることもあるし、


私自身、大好きだった曲がもう歌えないのは寂しいのですが、


本当に大事なことでは、二兎は追わないほうがいいでしょう。


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この転向の決断で一番大きな判断材料になったのは、


自分の身体の中にある音楽というか表現したいことが、


カウンターテノールとして歌ったときのほうが


より理想に近い形で実現できたということです。


大きな決断のようで、自然な決断でした。


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2011年が明けたとき、今年を挑戦の年と位置づけました。


日本での演奏活動再開は2012年2月の予定です。


今年は訓練と鍛錬と挑戦と試行錯誤にあけくれ、


来年以降多くの皆さんに聴いていただけるように努力します。


突然のご報告ではありましたが、


最後まで読んでくださってありがとうございました。


今後ともよろしくお願いいたします。


2011年7月 イスラエルにて 藤木大地



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イスラエルにイルラエル。


イスラエルという国の、テルアビブという街にきて10日がたちました。


オペラのサマープログラムに参加しています。


イスラエル?、危ないのではないか?


と思っていたので覚悟してきましたが、


危ない目にも嫌な目にも、いまのところ遭っていません。


元気です。


暫く更新してないことに触れずにしれっと再開しようと思いましたが、


もしちょくちょく訪れてくださっていた方々がいらっしゃいましたら、


さすがにふじきかつてなく更新していなくてすみません。


5-7月本当にいろいろありまして、人生に没頭しておりました。


イスラエルにきてからも、


なかなかご紹介できない世界のなんとかからをやりたかったんですが、


日々に没頭しておりました。


いろいろについては次回の記事で触れたいと思います。


私にとっては、これまでの音楽人生でたぶん一番大切なご報告です。


ヘブライ語のわたし。




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*『藤木大地』オフィシャルHP

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カウンターテナー歌手。
2012年、日本音楽コンクール第1位。カウンターテナーとして史上初の優勝者となり、大きな話題となった。13年にボローニャ歌劇場にデビュー。14年、15年には N H K ニューイヤーオペラコンサートに2年連続出演し、さらにはウィーン国立歌劇場と14/15シーズンの客演契約を結ぶなど、国際的な活動を展開する、現在最も注目を集めるアーティストのひとりである。東京藝術大学卒業。新国立劇場オペラ研修所修了。新国立劇場にテノールとしてデビュー後、ボローニャ、ウィーンに留学。11年にカウンターテナーに転向。12年国際ハンス・ガボア・ベルヴェデーレ声楽コンクール世界大会にてハンス・ガボア賞を受賞。宮崎市出身。ウィーン在住。
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