2014年1月アーカイブ

かえった。

ウィーンにかえるとまずコーチたちに電話で連絡をとって、次のプログラムのレパートリーのコーチングやヴォイスレッスンの日時の約束をするのです。現在ぼくには、オペラを中心にみてもらうコーチ、歌曲や宗教的作品を中心にみてもらうコーチ、そして声のコーチの3人がウィーンにいる。コンサートやオペラの予定がが立て込んでいる期間中は、リハや公演で毎日歌っていて、それを主観的にみている自分の判断がいつもコンディション調整の中心になる。もちろん同僚が客観的になにか言ってくれることもあるけれど、いいところをほめてもらえることはあっても、よほどのことがなければ歌手同士で、歌手の心臓たる声のシリアスな部分は言い合わないものだと個人的には思う。自分のことはいつも自分で守らないといけない。そういう仕事の期間が長いほど、主観的な判断の精度がずれやすくなると思う。だから自分の声と音楽をよくしっているひとに客観的に聴いてもらう機会は作らなければならない。ひとりよがりな声は、ひとりよがりな音楽を奏でるのだ。そうなると、その音楽はひとに届かない。

オペラ座のコーチ、ジムのところに行くと、大テノールのシコフのコーチングを終えたところだった。大テノールは、キャリアの後半段階にきていま、初めて演じる役を歌っているそうだ。ジムが、ふたりとももう知り合ってるよね?と訊く。ぼくらは前にもジムのところ会っているので、うん、と答える。そして世界的大テノールは、ぼくに向かって「がんばれよ〜」と言って部屋を出て行った。その日ぼくはその日の何曲目かで、今度久々に本番で歌うシューベルトの野ばらをジムにみてもらった。誰でもしっている、もう歌い慣れているあの歌の、最初の4小節をぼくなりにいつも通り歌ったところで、ジムはピアノを弾くのをやめてこう言った。「OK、この4小節の中で提案したいことが4カ所ある」

だからぼくはウィーンにかえってきたのだ。

かえる。

成田です。これからウィーンに飛びます。かえるのか、いくのか、だんだんわからなくなってきました。いまはまだそれでいいのでしょう。12月から1月の日本でのコンサートは実に充実しました。記憶と時間があったら振り返ろうかな。そのときそのときで、ものすごく集中して音楽に埋もれ、共演者や環境に埋もれ、他のことがなにもできなくなります。だから、クリスマスも年末年始も誕生日もなかった。いまはそれでいいのだと思います。いつのまにか三四郎になりました。FJK34である。世の中はバランスでできていて、いいときも悪いときもあれば、大事なこととそうでもないことはそのときによってちがいます。とにかくいま身のまわりにあったりちょっと先に見えていることのために、いまできることを一生懸命やるしかないのですね。そのためにこれからヒコーキに乗りましょう。

【おしらせ】
発売中の「音楽の友2月号」142ページにインタビューが掲載されています。また同誌、コンサート・ベストテン2013の特集では総合2位に日生劇場「リア」、小山晃先生の選に9月の府中でのぼくのソロリサイタルが挙っていました。充実した2013に感謝します。音楽の友、よろしければごらんください。

こんやは紀尾井。

こんにちは。NHKニューイヤーオペラコンサート、オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)とのニューイヤーコンサートのツアー(金沢、富山)、テレビやラジオや会場で聴いてくださったみなさん、どうもありがとうございました。
OEKとのツアーは進行中で、こんやの東京・紀尾井ホール、来週の大阪・いずみホールでの公演を残しています。どちらの大都市の公演もすでに完売しているそうです。うれしいね。

NHKやOEKの公演のことは、時間があるときにいくつかの写真とともに振り返りたいと思います。

ゆうべ、新国立劇場オペラ研修所5期生の同期の5人全員が、東京で9年ぶりに3時間だけ奇跡的に集まりました。02年から05年まで、毎日朝から晩までの修行時代を一緒に過ごした仲間。左から桝貴志、北川辰彦、与那城敬、中村恵理、藤木大地。全国のコンサート主催者の皆さん!5人まとめてあなたの街に呼んでいただけませんか!いい仕事しますぜ。きっと信じてもらえると思うけど!この仲間たちがみんな、世界のどこかで元気に歌っていられて、再会したら自然に笑っていられる、今という未来に感謝します。


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それではこんや、紀尾井ホールでお会いしましょう。


1月15日(水)19:00 紀尾井ホール(東京)詳細
1月20日(月)19:00   いずみホール(大阪)詳細


おおみそか、紅白と第九と東急を交互に観ながら、NHKホールでけー、生放送こえー、とビビりながら年を越しました。

これまで、ニューイヤーオペラに出る歌手はいったいどんな正月を過ごすのだろうかと思っていたけれど、やってみたらわかりました。

多くの人に支えられてみんなの前でうたを歌えるなんて、本当に幸せな人生ですね。感謝。今年もよろしくお願いいたします。

NHKニューイヤーオペラコンサートは本日、1月3日19時より、NHK-Eテレで生放送です。よろしければごらんください。

*『藤木大地』オフィシャルHP

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カウンターテナー歌手。
2012年、日本音楽コンクール第1位。カウンターテナーとして史上初の優勝者となり、大きな話題となった。13年にボローニャ歌劇場にデビュー。14年、15年には N H K ニューイヤーオペラコンサートに2年連続出演し、さらにはウィーン国立歌劇場と14/15シーズンの客演契約を結ぶなど、国際的な活動を展開する、現在最も注目を集めるアーティストのひとりである。東京藝術大学卒業。新国立劇場オペラ研修所修了。新国立劇場にテノールとしてデビュー後、ボローニャ、ウィーンに留学。11年にカウンターテナーに転向。12年国際ハンス・ガボア・ベルヴェデーレ声楽コンクール世界大会にてハンス・ガボア賞を受賞。宮崎市出身。ウィーン在住。
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