2014年9月アーカイブ

日本人。

午前中から頭をつかって、耳をつかって、気もちょっとつかっていたら14時ころにエネルギーが切れた。1時間くらいスマホとかいう小窓(某マエストロからお借りした最近お気に入りの単語)をながめながらごろごろして、それでもエネルギーは充填されなかった。窓から外をみたらつかの間の晴れ間がさしていたので近所のお城(!)の庭園に散歩に出かけて、日本語の情報誌を噴水とお城をみながらぼーっと読んだ。過日のコーチングを録音した自分の歌ってるベートーヴェンとマーラーをイヤフォンで聴きながら。そこの子音きこえない、とか、そこのピアノ、ピアノすぎ、とか、耳から至近距離で言われているものだから気を休めにお城に参上しているのに気は休まらない。さて家に帰って声を出すぞとコーヒーを淹れて、コーヒーメーカーが最近動かなくなったもんだからフィルターでどうにか淹れて、突然ちかぢか仕上げないといけなくなったグルックの曲を勉強していると、なんだ、来年のあのリサイタルの18曲目はやっぱりヘンデルじゃなくてグルックじゃん、といま勉強している曲とは違う曲を思いつき、日本の岡部さんにメールしたくていてもたってもいられなくなる。そこをぐっとがまんして、休憩と称してもう入れたと思っていた炊飯器のスイッチを入れる。だってその曲を入れるとしたら、おそらく初めて日本で歌われることになるのだ。だからわたくしが提出するタイトルの和訳が未来永劫、前例として使われ続ける(かもしれない)ことを念頭におかなければならない。とか考えているとゴハンが炊ける。冷蔵庫には、ゆうべのオカズの残りが残りだけにまだ残っている。それでゴハンを食べることも可能である。ところがわたしは海苔が食べたかった。外国語で言うところの海藻である。日本から持って帰ってきた五目寿司のもとをゴハンとマリアージュさせ、簡単にいためた卵とツナを太巻きにする。3年ぶりくらいに使用する我が家の巻きす。太巻きを3本巻いて、3本食べた。途中で崩壊したおにぎりみたいなものも含めて出汁醤油で。3本食べたらようやくほっとした。おれは日本人だ、あぁ。

人のマテリアルや実績をほめるときにあちこちで見かける"日本人離れした"、とか、"日本人唯一の"、という枕詞にはわたくしは常々少々違和感を覚えているのです。だって、つまり外国起源の文化のフィールドで日本人にしては割とうまくやれてる、ということでしょう。外国人には優ることができないことが前提になっている。日本人であることを捨てることなく、世界のみんなの中で優りたい。外国人の横綱に"モンゴル人離れした"、とはモンゴルではいわないでしょう。でも彼らは日本の文化に向かい合った横綱だ。海外にいても日本にいても、向かい合って磨けばそれは実現できると思います。だって、相手は外国人ではなく、文化の本質なのだ。その分野で優れていれば、ナニジンであろうが場所がどこであろうが、ちゃんとわかっている人からは認められる。磨き上げよう。太巻きを3本食べて日本語を書きなぐったらほっとしたので歌ってきます。この思考のために何キロ太ったかはしりません。

セプテンバー。

言い訳をしなければなるまい。わたくしは何度も書こうとしたのです。ところがわたくしがもはや長年お付き合いしているこのブログ氏は、わたくしが海外にいるときはどうもうまく更新させてくれないのである。あるときは難なくアップできたり、と思ったら、突如サーバーにはじかれて?アップできなかったり。日に何度も強き意思をマシーンにはじかれているうちに時間は喰われ、心は折れ、ほかにやることがあるだろう、という心の声がわたくしをブログから遠ざけておりました。
ウィーンにおります。健康です。

と、いうわけでして、ブログより比較的マメな近況アップデートは、よろしければ以下をイイネ&フォローしていただけたら、そこでのわたくしは比較的マメ男でございます。



"大作戦!"が無事におわってすぐにヨーロッパに戻りました。ドイツのハノーファー歌劇場でのオーディション、音楽祭まっさかりのイタリアのペーザロでのオーディション、シエナでのマイケル・チャンス氏との一年に一度の再会たるカウンターテナー合宿、フィレンツェ歌劇場での劇場監督タングッチ氏との対話などの旅人生と、その合間にはウィーンで秋冬シーズンの楽譜に埋もれる日々。1年後のリサイタルのプログラムに頭をひねる昼夜。あんなに輝かしく眩しかったイタリアの太陽と空は、1時間半飛んでウィーンに着いたとたんに記憶となった。
9月1日、ウィーンでは夏は売り切れていた。もしくは夏は閉店していた。

夏には多くの思考がありました。一番強く思ったことは、本当に縁のある人や土地とは、再会する運命にあるということ。かわらない空気が生まれるということ。なので、日頃から目に見えない大事か大事でないかわからないものを追い求めて、あるいはなにかをおそれて、人や物事や情報と不自然に"つながって"いなくてもいいと思うのだ。自然であればもちろんいいと思うけど、限られた時間でやるべきことは沢山ある。時は来る。時は解決する。そのほかの不必要な行為や思考に費やす時間は、有限な人生にとってより有意義なことに使えばいいと思うのです。そういった精神的な断捨離を経て、大事な時間を心身ともに大事に使おうと気持ちも新たにした、ウィーン7年目の秋。

わたくしの2014/15シーズンはしずかに開幕しております。

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カウンターテナー歌手。
2012年、日本音楽コンクール第1位。カウンターテナーとして史上初の優勝者となり、大きな話題となった。13年にボローニャ歌劇場にデビュー。14年、15年には N H K ニューイヤーオペラコンサートに2年連続出演し、さらにはウィーン国立歌劇場と14/15シーズンの客演契約を結ぶなど、国際的な活動を展開する、現在最も注目を集めるアーティストのひとりである。東京藝術大学卒業。新国立劇場オペラ研修所修了。新国立劇場にテノールとしてデビュー後、ボローニャ、ウィーンに留学。11年にカウンターテナーに転向。12年国際ハンス・ガボア・ベルヴェデーレ声楽コンクール世界大会にてハンス・ガボア賞を受賞。宮崎市出身。ウィーン在住。
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