ゆく年くる年に。

2014年、演奏会で、放送で、どこかでわたくしの歌を聴いてくださった皆様、陰日向で演奏活動を応援してくださっている皆様に、厚く御礼申し上げます。また、主催者、共演者、スタッフ、所属事務所の皆様、いつも応援してくれている友人、知人、恩師、親戚、家族にも心から感謝します。

2014年のNHKニューイヤーオペラコンサートで始まった今年は、2015年のNHKニューイヤーオペラコンサートのリハーサルで終わりました。これが日本人のクラシックの歌手にとってどれほど名誉なことか。

数日後の1月3日に元気な姿と歌声をテレビで全国にごらんいただくために、2015年の輝かしいスタートのファンファーレの一部となれるように、初出場の際の経験をいかしたイメトレを繰り返している年末です。具体的にいえば、音楽スタジオの壁の先にNHKホールの客席とお茶の間を想像したトレーニングであります。ジャンルを問わず歌番組もみています。1曲を歌うためにこれほど神経を使うコンサートは、わたくしにとってはほかにありません。

けれど思い返せば、まだコンサートの仕事がなかった学生のころ、たった1曲3分の歌曲を大学の実技試験で歌うために、毎日繰り返し繰り返し、試行錯誤しながら何百回と練習したものでした。いま、その頃の気持ちに戻るのです。この曲をできるかぎり上手に届けたい。思うようにできずイラ立ちながら繰り返す中で、必ず発見があります。このプロセスに戻れる機会があることが有難い。こんなプレッシャーと環境の中で集中して発見し続ければ、もっとうまくなれると思うし、うまくなりたいと思う。だから練習する。世の中が休みでも、わたくしは全然休みたくないのです。ごちそうも終わってからでいい。

今年は、NHKニューイヤーオペラが終わって、オーケストラ・アンサンブル金沢との4都市ニューイヤーコンサートがありました。中村恵理さんとの共演は同世代の歌手として最高に刺激的な音楽経験であったし、その後大変な思いをされた井上道義マエストロが復活されてほんとうに嬉しかった。

桜咲く東京・春・音楽祭での忘れがたい2公演、もちろん宮崎での恒例の大作戦!、NHKでの名曲リサイタルの収録、京都での新作モノオペラ、東京での第九、福岡での初めてのメサイアなどの興行的公演の傍らに、ライフワークで続けていきたいアウトリーチが宮崎キャラバンと広島で。どれも鮮明に思い出すことができます。多くの出会い、再会がありました。その度に心があたたかくなりました。

自分の音楽を高めてくれ、また高め合える素晴らしい共演者と、情熱と理解のある主催者やスポンサーと、熱狂的で好奇心旺盛なあたたかいオーディエンスのおかげで、音楽を仕事にできてよかったな、演奏を続けられてうれしいな、と思える瞬間に恵まれています。改めて感謝申し上げたいと思います。

2015年のすでに発表されている予定は、たいへんバリエーションに富んでいます。

まず国内では、首都圏の主要ホールによる主催プロジェクトへの初登場が続きます。トッパンホール(4月)、フィリアホール(7月)、東京オペラシティ(9月)、王子ホール(10,11月)。演奏家としてはいつどんなオファーでもお引き受けしたい名門ホールの数々で、それぞれまったく違うリサイタルプログラムでお目にかかります。時代はバロックからロマン派を経て2015年の委嘱新曲まで、共演楽器も幅広く、ピアノ、ギター、リュート、バロックハープ、古楽アンサンブルと、すばらしい演奏家のみなさんで予定されています。最近ご縁の増えた関西では、まさかわたくしのキャリアで演ることがあるなんておもっていなかった有名オペラのとある役を大好きないずみホールで(11月)、ザ・シンフォニーホール(11月)では、フォーレのレクイエムの天使のようなソプラノソロ(!)にも初挑戦します。

そして海外では、ウィーン国立歌劇場との初めての客演契約。わたくしがカウンターテナーへの転向を決めたときにとにかく聴きまくり、ある意味で目標にしていた世界一のカウンターテナー、David Danielsのカヴァー歌手(代役)として、ふたつの世界一のオペラハウス、ウィーン国立歌劇場とメトロポリタン歌劇場との共同制作の新プロダクションのメンバーとして、数ヶ月間仕事をします。

カウンターテナーに転向して2015年1月でちょうど4年。
試行錯誤、喜怒哀楽、七転八起を重ね、当時目指していたような場所にどうにかたどりつけた、という思いと、まだまだいける、という思いがあります。どちらも本音だけれど、やっぱりまだまだいきたい。もっと見たい。もっと先のまだ見ていない世界があるはずだ。世界のもっと多くのひとに歌を聴いてもらいたい。そして、誰かが作った既成概念にとらわれず、自分に与えられた声で歌える音楽には挑戦したい。いいご縁があればそろそろCDも作りたいな。

好奇心と向上心をもって、等身大でカッコつけずに、目標は高く、応援してくださる皆様への感謝を忘れずに、音楽と自分の声に向き合って、新しい年を最後までゆきたいと思います。

皆様にとって幸多き一年となりますように。

2015年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

2014年12月31日

*『藤木大地』オフィシャルHP

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カウンターテナー歌手。
2012年、日本音楽コンクール第1位。カウンターテナーとして史上初の優勝者となり、大きな話題となった。13年にボローニャ歌劇場にデビュー。14年、15年には N H K ニューイヤーオペラコンサートに2年連続出演し、さらにはウィーン国立歌劇場と14/15シーズンの客演契約を結ぶなど、国際的な活動を展開する、現在最も注目を集めるアーティストのひとりである。東京藝術大学卒業。新国立劇場オペラ研修所修了。新国立劇場にテノールとしてデビュー後、ボローニャ、ウィーンに留学。11年にカウンターテナーに転向。12年国際ハンス・ガボア・ベルヴェデーレ声楽コンクール世界大会にてハンス・ガボア賞を受賞。宮崎市出身。ウィーン在住。
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このページは、Daichiが2014年12月31日 00:11に書いたブログ記事です。

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