モーツァルト!

今月観に行った井上芳雄さん主演の東宝ミュージカル「モーツァルト!」には感激した。そもそも、わたくしのミュージカル観劇歴は芳雄君のキャリアそのものなのだ。ミュージカルにもオペラにも特に興味がなく、歌うことが好きなだけだった大学3年生のわたくしは、同級生にして同門下生たる芳雄君が華々しくミュージカルデビューをするというので、帝国劇場まで応援に出かけたのだ。そこで、日本語がこんなに聞こえてくる舞台芸術とは何と気持ちのいいものだろうか、と感じると同時に、友だちだったヨシオがあっという間にスターになったのをまぶしく眺めていたのであった。

それからつまり14年が経ったわけである。その間ヨシオ君がずっとトップランナーとして輝き続けていることをなにより尊敬するし、その日の舞台の彼は身体と心と歌がつながっていて、ぼくらが歴史上の人物として習うモーツァルトは同時代的にはあんなヤツだったんだ、と信じられた。すばらしかった。と、本人に伝えると、まー12年もやってるからねー、と言っていたけれど。

舞台に立つ者の仕事というか役割は、作品を自分という媒体を通して客席に伝えることだと思う。そこにエゴが出れば出るほど、作品の深さは薄れていく。かといって個の存在感はやはりなければつまらない、という難しいバランスの中で、絶妙を見つけ出す、あるいは自然にやれるのが匠なのだと思います。

ショーを楽しんで心を潤すのに、ミュージカルだオペラだ演劇だとわざわざカテゴライズする必要はないと思う。所属がどうとか、ジャンルがどうとか、時代がどうとか、日本では特にそんな話題をよく耳にするけれど、なにかを分けた時点で可能性をひとつ失うと思うのです。

とにかく、この舞台を通じていろいろなことを考えるきっかけをもらい、たいへんよい勉強をさせていただきました。

10月に放送された井上芳雄さんのウィーン音楽紀行番組が大好評につき早速再放送されます。ウィーンの素敵な風景と芳雄君の魅力が満載ですので、ぜひごらんください。わたくしも同級生のよしみでちょこっと出ています。

12月30日(火)12:00 BSフジ「井上芳雄ウィーン音楽紀行」 詳細


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カウンターテナー歌手。
2012年、日本音楽コンクール第1位。カウンターテナーとして史上初の優勝者となり、大きな話題となった。13年にボローニャ歌劇場にデビュー。14年、15年には N H K ニューイヤーオペラコンサートに2年連続出演し、さらにはウィーン国立歌劇場と14/15シーズンの客演契約を結ぶなど、国際的な活動を展開する、現在最も注目を集めるアーティストのひとりである。東京藝術大学卒業。新国立劇場オペラ研修所修了。新国立劇場にテノールとしてデビュー後、ボローニャ、ウィーンに留学。11年にカウンターテナーに転向。12年国際ハンス・ガボア・ベルヴェデーレ声楽コンクール世界大会にてハンス・ガボア賞を受賞。宮崎市出身。ウィーン在住。
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このページは、Daichiが2014年12月30日 00:04に書いたブログ記事です。

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